京都人が好きな『おばんざい』とは? (私も大好きです^^)
おばんざいは、超合理的なスローフード
おばんざいとは京都の常の日のお惣菜のこと。旬の素材、手近な食材を、手間をかけずに使い切る献立の数々。
日持ちがしない料理は、食べ残しの出ない分量だけ作り、あともの
足りない分は作り置きの出来る常備菜でまかないます。
無駄なお金も時間も労力もかけんと、ゴミも少ししか出さない、
超合理的な伝統の家庭料理です。
電気冷蔵庫が今程普及していない時代、京都では、これらはごく
あたりまえの調理法でした。
ところが、昨今、全国的に増えている「おばんざい料理屋」には、
むしろ「高級すぎる」と批判的な部分もあるようです。
じっさい「ハモの照り焼き」や「汲み上げ湯葉」など、京都の一般
家庭ではまず食べないような料理まで、メニューに並んでいます。
昔から京都では、材料費をかけずに、一品でも二品でも余分に
つくれる主婦こそ、「賢い嫁」と褒められるのです。
その節約の精神がおばんざいメニューを生んだのです。
ダシをとったあとのカツオ節とちりめんジャコを醤油で炒めて即席
ふりかけを作ったり、大根のたいたんを作った残りの皮で、きんぴら
を作ったりします。
そういう質素で、どこか手抜きの感じがある料理こそ、おばんざい
というにふさわしいと、思いますが。
必ず十五日に食べたという "いもぼう" のルーツ ?
今では、生粋の京都生まれのおばあさんに尋ねても、「そんな習慣、
聞いたことあらしまへん」と言われるかも知れません。
でも、そのおばあさんが生まれるずっと前、京都には決められた日
に、特定の "おばんざい" を食べる習慣があったと言われています。
たとえば、一日にはニシン昆布、十五日にはいもぼう、そして月末
には、おからを食べたのだそうです。
こうした "食のカレンダー" が決められていたのは、海から遠い京都
で、魚を食べるための工夫だったのでしょう。
昔の京都人にとって、いもぼうやニシンは、貴重な海の幸であり、
たんぱく源だったのだと思います。
「いもぼう」とは、海老芋と棒ダラを長時間煮詰めた料理のことです。
材料が「芋」と「棒ダラ」というところから、「いもぼう」とよぶように
なったのです。
現在は、家庭でもおばんざいの一つに加わっていますが、これを
考案したのは、祇園の円山公園内にある「平野家本店」です。
江戸時代、北前船(きたまえぶね)に よって関西地方へ北海道の海
の幸が運ばれていました。
もちろん、現在と違って輸送に時間がかかりますので、運ばれてくる
のは、主にマダラを干して棒状にした棒ダラや、身欠きニシンでした。
京都では、組み合わせのよい食べ物を「出合いもん」と呼びますが、
平野家本店では棒ダラと海老芋を出合わせ、棒ダラのよりおいしい
食べ方を発見したというわけです。
ちなみに、海老芋は、江戸時代の中頃、青蓮院宮(しょうれんいんの
みや)が九州へ行き、いまの宮崎県あたりで唐芋を手に入れ、それを
京都に持ち帰り、平野家本店の創業者に託し、栽培させたもの。
細長くて、そっくり返った形が海老に似ているので、海老芋と名づけ
られたそうです。
これが、棒ダラに出合って、いもぼうとなったのも、この頃のことです。
棒ダラのニカワ質が、芋をくるんで煮くずれを防ぎ、芋のアクがタラの
骨を柔らかくする。
お互いに助け合い、うまさが噛み合うことから、いもぼうは「夫婦煮」
とも呼ばれています。
300年続く京都伝統の味「いもぼう」。
いもぼう平野家本店はシンプルでありながら、
真似のできない伝統の味。一度ご賞味を。
料理の材料、海老芋です。
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