京都の三大奇祭といわれる祭りの一つに、鞍馬の火祭りがあります。
勇壮な格好のお兄さんたちが、大きな松明を掲げて街道を歩き、由岐
神社の山門を目指します。
ドンドコ、ドンドコと鞍馬太鼓が打ち鳴らされ、「サイレイヤ、サイリョウ」
という掛け声が響く中、燃え盛る松明がひしめく様子は迫力満点といわ
れます。沿道で見物しているだけで、その熱気は十分に伝わってくると
思います。
毎年、10月22日の夜は、この祭り見物の人たちで、鞍馬地区はごった
返すそうです。
絶好の見物スポットを確保するためには、午前中には鞍馬へ行く必要
が、あるということです。
祭りの始まりは午後6時半ですが、遅くとも正午までには場所を確保し
なければならないというわけです。
というのも、鞍馬地区は京都の北山方面にあり、京阪電車の出町柳
から叡山電鉄で30分のところですが、この電車がわずか二両編成。
普段は利用客が少ないため、運べる人数が限られています。そこで、
祭りの日の午後になると、出町柳駅の改札口には長蛇の列ができて
しまうそうです。
また、目的の鞍馬駅にたどり着いても、午後には鞍馬街道はほぼ
見物の人で埋まってしまいます。
人の流れに沿って山門の方へ歩いても、目の前にあるのは人、人、
人の列。毎年、山門の近くでは、警察官が「もうこれ以上進めませ~ん」
と絶叫するのが恒例となっているのだそうです。
もちろん、山門から離れれば、午後からでも見物場所を確保できると
思いますが。
でも、松明(たいまつ)の集まる山門から遠い場所では、目にできる松明
は目前を通過するものだけ。
祭りのクライマックスである松明がひしめく様子は見られません。
また、山門近くに場所を確保しても、人の壁が三重、四重と重なっていて
は、やはり勇壮な雰囲気を味わうことはできません。
なお、ベストの見物スポットは、山門の石段の上。
午後9時頃には、その下に松明が集まり、一面が火の海になります。
火の粉が舞い、炎がゴーッと燃え上がり、大歓声に包まれて、石段の上
からなら、その全景をバッチリ見物できるのだそうです。
もっとも、このクライマックスを見ると、帰りは鞍馬駅で二時間近くの電車
待ちを覚悟、というオマケもついているとか。
掛け声勇壮 鞍馬の火祭
火の粉を散らしながら勇壮に担ぎ上げられる大松明(22日午後9時、京都市左京区・鞍馬寺山門前)
京都三大奇祭の一つ、鞍馬の火祭が22日夜、
京都市左京区鞍馬本町の由岐神社一帯で営まれた。
大松明(たいまつ)が秋の夜空に火の粉を舞い上げ、担ぎ手の
勇ましい掛け声が洛北の山里に響いた。
火祭は10世紀半ば由岐神社が京都御所から鞍馬へ移された際、
松明行列が進み、沿道にかがり火をたいた故事にちなむ。
日が暮れた午後6時ごろ、一帯の家の前にかがり火がともり子ども
たちや若者が大小の松明を掲げて街道を練り歩いた。
松明は午後8時すぎから続々と鞍馬寺の山門前に集まり、約30本が
そろうと祭りは最高潮に達した。「サイレイヤ、サイリョウ」の掛け声が
ひときわ大きくなり、沿道をびっしりと埋めた市民や観光客は炎と担ぎ手
の熱気に酔いしれた。
観覧マップ